始業式式辞(R6.4.8)

令和6年度(2024年度)第1学期始業式式辞

 

 皆さん、おはようございます。令和6年度、創立71年目の始業の日を迎えました。学校現場を離れていた私にとっては約1年ぶりの集会、最も喜んでいるのは私かもしれません。この空気感をとても心地よく感じます。人の息づかいや集団の発するオーラなど、一堂に会してこその実感は他に替え難いものであり、大切にしたく思います。

 新型コロナウイルスやインフルエンザ等の感染症の心配は今なおあるものの、各種制限が大幅に緩和され、充実した教育活動が展開できるようになって実質2年目となります。これからも、安全・安心できる環境は整えつつ、学びの機会をしっかりと確保し、ICT活用等の様々な工夫によって学びの一層の充実を図っていきたいと考えます。任意とはいえ、マスク着用や手洗い・うがいの励行など、「我が身を守り、学校を守り、学びを継続する」基本的な衛生対策について、皆さんの協力をお願いします。

 さて、こうした集会の時機を使って皆さんに伝えたいことは山ほどありますが、今日は一つに絞って伝えます。

それは、「校訓で示され、校歌に謳われる精神を共有し、体現しよう」ということです。校訓や校歌、意義や目的を明確に理解し、引き継がれてきた思いを尊重して全ての行動に活かし、次に伝えていく。それが伝統の力、女子高の女子高たる所以です。今日は、我々女子高関係者のバイブルとも言える校訓・校歌を探究し、意志共有を図ることに挑戦してみたいと思います。

 まずは、校訓について考えます。平成15年に制定された比較的若々しい校訓では、「より広く より高く」を掲げ、心、視野、知識の広がりを求め、高い志をもっての人格の高まりを呼びかけます。広さは富士山の裾野をイメージし、その積み重ねとしての富士山の高さ、完成形としての偉大な美しさをイメージしたものと聞いています。「より~」とあるのは、現状に満足せず、一歩でも前へ、先へと、求め進んでいく姿勢の推奨。すなわち、変身・変革に挑戦しようとの勧めです。人それぞれその内容や観点に違いこそあれ、皆が少しずつでも進化していけば、集合体としての学校は必ずやよりよくなっていく…、皆でめざしていきたいものです。この校訓のメッセージに共感しつつ、本年度の重点ポイントとしてつけ加えたいのは、「より麗しく よりしなやかに」の言葉。女子高ならではの特長や個性を活かし伸ばしていくために、立ち居振る舞いの点で麗しさを、柔軟性や打たれ強さの点でしなやかさを追求してほしいと思います。女子高で学ぶ誇りや自信を、一人一人の、そして協働での意識的な行動で高め、強めていきましょう。

 次に、校歌の歌詞について。校名にもなった「ふるさと 皆美が丘」、「嵩の峰」「出雲野」といった、豊かな自然に包まれた好環境の学び舎で学び育つのは「おとめら」です。三番まで共通しているのは、場所を表す「ところ」と、「つねに○○ん」との呼びかけ、その目的語にあたる「若き○○を」であり、生徒である若きおとめらが、それぞれの「生命(いのち)」を賛え、「英知」を研き、「理想」を掲げていこうとのメッセージ。女子高でなら叶う、特有の激励コールを常に意識しながら、ここで成長していくことが目標とされます。スクール・アイデンティティ「自立・創造・共生」も踏まえ、伝統ある素敵なこの学校を、誰一人取り残されることなく、生徒、教職員ともに皆で協働してしっかりと築いていきたいと考えています。 探究した校訓や校歌、そこに込められたメッセージを忘れずに、みんなで堂々と謳歌する日々を楽しみましょう。

 今後も折につけ、皆さんとともに、伝統継承とイノベーションのあり方について探究していくつもりです。習得・活用の先にある探究、「まつえ学」や「進路探究」だけではなく、教科学習や部活動など、いつも意識しながら共に取り組みたい、そんな共学共創の学校であることを願います。ここに集う生徒、教職員は皆、隔てなき「おとめら」であり「我ら」。この皆美が丘にあって、嵩の峰の秀(ほ)を仰ぎつつ、生命(いのち)を賛え合いながら、英知を研き、理想を掲げて、進みゆく同志。本日を契機に、校歌の歌い方に変化が生じ、日常の意識が整ってくれると嬉しく思います。

 以上、「我ら」で創立71年目のスタートを切る決意を共有し、始業の言葉とします。

 

令和6年4月8日 松江市立皆美が丘女子高等学校 校長 多々納雄二

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